法人防災・社用車管理
社用車に防災グッズは何を載せる?営業車・現場車の「1台1セット」標準装備と期限管理【2026年版】
公開日・最終更新日:2026年8月31日 | 熱中症対策ナビ編集部

会社には非常食や水を備蓄している。本社には防災倉庫もある。それでも、営業先へ向かっている社員が大地震に遭った時、その備蓄は使えるでしょうか。
社用車は、営業、配送、点検、施工、保守、送迎など、会社の外で使われます。災害は従業員が事務所にいる時だけ起きるわけではありません。
2026年8月にJAFが公開した企業向けの車両防災情報でも、社用車を運用する企業は、備品や燃料の準備だけでなく、二次災害を防ぐためのドライバー教育まで企業主導で行うことが重要とされています。
そこで法人の社用車防災では、「何を買うか」だけでなく、「全車へどう標準配備し、誰がいつ確認するか」まで決めることが重要です。この記事では、営業車・現場車・サービスカーなど複数台の社用車を持つ会社向けに、車載防災用品を会社のルールとして整える方法を解説します。
先に結論|社用車防災は「1台1セット+人数補完+季節加算」
社用車の防災用品を標準化するなら、次の3段階で考えると管理しやすくなります。
- 全車へ共通の防災セットを1つ脱出、トイレ、合図、衛生など、どの車でも必要になりやすい基本装備を車両単位で固定します。
- 最大乗車人数に合わせて水・食料・トイレを追加4人乗る車に携帯トイレ2回分しかなければ、長時間待機では不足する可能性があります。セット名ではなく、中身の数量まで確認します。
- 季節・走行地域・業務内容で追加大雪地域なら防寒・スコップ等、長距離巡回なら水・食料、現場車なら待機装備を厚くするなど、全車同じにしすぎないことも重要です。
社用車の防災は「会社に備蓄がある」だけでは足りない
本社備蓄と車両備蓄は別に考える。外出中の従業員は会社の倉庫へ戻れない可能性があります。
企業防災というと、オフィスに水や食料、簡易トイレを置くイメージが強いかもしれません。しかし社用車を使う社員は、勤務時間の一部を会社の外で過ごしています。
- 営業車で顧客先へ移動中
- サービスカーで保守先へ向かっている途中
- 現場車で山間部へ移動している時
- 配送や巡回で県外を走っている時
このタイミングで道路が寸断されれば、本社の防災倉庫へ戻れない可能性があります。東京海上ディーアールも、大地震に備えて企業が取るべき対策として、社用車へ飲料、食料、防寒具、携帯トイレなどを常備することや、ドライバーへの教育を挙げています。
つまり、「本社備蓄」と「車両備蓄」は別に考えるのが分かりやすいのです。
まず決めたい「1台1セット+人数補完+季節加算」
全車へ共通の防災セットを1つ
脱出、トイレ、合図、衛生など、どの車でも必要になりやすい基本装備を車両単位で固定します。
最大乗車人数に合わせて水・食料・トイレを追加
4人乗る車に携帯トイレ2回分しかなければ、長時間待機では不足する可能性があります。セット名ではなく、中身の数量まで確認します。
季節・走行地域・業務内容で追加
大雪地域なら防寒・スコップ等、長距離巡回なら水・食料、現場車なら待機装備を厚くするなど、全車同じにしすぎないことも重要です。
例えば普段1人で使う営業車でも、同行営業で2〜3人になることがあります。現場車なら4〜5人で移動することもあります。同じ防災セットを積んでも、1人で使う車と5人が乗る車では必要なトイレ、水、食料の数量が違います。そこで車両台帳へ最大乗車人数の欄を追加します。
全車共通の標準装備は何にする?
「13点セット」といった点数だけで管理せず、必要な役割を会社標準にして、その役割を満たすセットを選びます。
| 役割 | 確認の視点 |
|---|---|
| 脱出 | 水没や事故などでドアが開かない時に備える脱出用品 |
| トイレ | 長時間の通行止め・立ち往生では避けられない問題 |
| 合図 | 夜間の故障・停止時に、車両や人の存在を知らせる用品 |
| 衛生・応急 | マスク、ティッシュ、簡単な救急用品等 |
| 水・食料 | セットに入っていないことが多いため、別途確認 |
ABO-98を全車標準候補として見る
脱出・合図・トイレ・衛生を1箱で広く押さえられるため、複数の社用車へ共通配備するベース候補として比較しやすいセットです。
全車標準セット候補
ABO-98 ドライブ緊急セット13点

商品ページでは次の用品がセットされています。サイズは305×245×115mm、重量は約1.41kgです。
- マグネット付LED信号灯
- 車脱出用ハンマー
- 携帯トイレ8回分
- 3Lポリバケツ
- ホイッスル
- 救急絆創膏
- タオル
- マスク×2
- ゴミ袋
- コップ×2
- 万能ナイフ
- ポケットティッシュ
- 電池
営業車、サービスカー、社用バンなど、まず全車へ同じ基準で配備したい時のベース候補として考えやすくなります。
ABO-98 ドライブ緊急セット13点を見る営業車・現場車・長距離車で追加装備を変える
共通の最低基準を決め、車両用途で追加する方が実態に合いやすくなります。
営業車

- コンパクトな防災セット
- 脱出用品
- 携帯トイレ
- 最低限の水・食料
荷物を積むスペースとのバランスも重要です。
現場車・サービスカー

- トイレ回数
- ブランケット
- エアマット
- ライト
- 飲料・非常食
現場到着後に車が待機拠点になるケースもあります。
長距離・巡回車

- 水
- 食料
- トイレ
- 防寒
- 長時間待機装備
乗車人数に合わせて増やします。
現場車・長距離車はABO-990で待機装備を強化
「13点の方が4点より上」という比較ではありません。営業車の標準装備と、長距離・現場車の強化装備では目的が違います。
山間部、郊外、高速道路、積雪地域などを走る車は、通行止めで長時間動けない状況を想定しておく価値があります。そこで比較しやすいのがABO-990 車載用防災4点セットです。
現場車・長距離車の待機装備強化
ABO-990 車載用防災4点セット

点数は4点ですが、保温・トイレ・休息・脱出という、長時間待機で負担になりやすい役割を厚くしています。
- リバーシブルアルミブランケット
- 緊急トイレ10回分
- エアマット180cm
- 車脱出用ハンマー
- 巾着ポーチ
非常食は車載用ミレービスケットで補完
ABO-98やABO-990だけでは非常食の補完が必要です。複数台へ1缶ずつ配る法人利用とも相性があります。
全車標準セットの非常食補完
保存用ミレービスケット100g【車載用】12缶

- 製造から5年
- 12缶
- 437kcal/100g
- 商品ページに最高80℃〜最低-30℃まで車内保存可能と記載
同ページに直射日光、高温多湿を避ける旨もある。最新の保管指示を優先。
保存用ミレービスケット100g【車載用】を見る社用車の防災装備をまとめて確認する
災害対策品一覧を見る夏と冬で同じ中身にしない
「全車標準セット」は固定しても、季節加算部分は入れ替える運用にすると管理しやすくなります。

JAFも、車内は寒暖差が大きいため、季節に合わせて防災用品を見直すことを案内しています。
夏
高温車内で保管できない電池製品やモバイルバッテリー等を、常備品として入れっぱなしにしないよう管理します。
冬
積雪地域を走る車では、毛布・防寒具・手袋・スコップ・タイヤチェーン等を車両用途に応じて追加します。
車両台帳に「防災装備」欄を追加する
「誰かが入れたはず」「前の車にはあった」「この車だけセットがない」を防ぐため、車両管理台帳に防災用品を組み込みます。

| 項目 | 記録内容 | 記入欄(コピー用) |
|---|---|---|
| 車両番号 | 社内管理番号 | |
| 使用拠点 | 本社・営業所等 | |
| 主利用部門 | 営業・施工・保守等 | |
| 最大乗車人数 | 通常の最大人数 | |
| 防災セット | 品番・名称 | |
| 配備日 | 搭載した日 | |
| 食料期限 | 最短期限 | |
| 水期限 | 最短期限 | |
| トイレ | 回数・数量 | |
| 電池確認 | 点灯・液漏れ等 | |
| 脱出用品 | 設置位置を確認 | |
| 季節入替 | 夏/冬の実施日 | |
| 最終点検日 | 確認日 | |
| 次回点検日 | 予定 | |
| 担当者 | 補充・点検責任者 |
車両一覧と同じ表で管理すれば、防災用品だけ別ファイルにして忘れるリスクを減らせます。
半年点検で確認する10項目
春・秋など半年に一度の車両点検と防災点検をまとめる方法が続けやすいです。JAFも年に数回の防災用品点検を案内しています。

印刷用|半年点検チェックリスト
社用車防災|半年点検10項目
- 防災セットが実際に車へ入っている
- 使用済み・不足品がない
- 携帯トイレ数量
- 水
- 非常食
- LED・乾電池
- 脱出ハンマーの設置位置
- 高温に弱い製品を入れっぱなしにしていない
- 夏/冬用品を入れ替えた
- 車両台帳を更新した
防災の日だけ確認するより、スタッドレス交換・定期点検・車両入替など既存の車両管理業務に組み込む方が続けやすくなります。
「使用したら補充する」までルール化する
使用 → 管理者へ報告 → 補充 → 台帳更新。箱はあるが中身が足りない状態を避けます。
STEP 1
使用
STEP 2
報告
STEP 3
補充
STEP 4
台帳更新
携帯トイレ、絆創膏、マスク、非常食などは、一度使えば数量が減ります。災害以外でも、渋滞や車両トラブルで使用する可能性があります。使用後の補充まで決めます。
燃料ルールと運行判断もBCP
用品・燃料・運行判断をセットで考えることが社用車BCPでは重要です。
JAFは、災害時の燃料供給不安に備え、企業のBCPとして日ごろから燃料を確保する考え方も紹介しています。例えば次のような社内ルール例があります。
- 燃料が半分を下回ったら給油(例)
- 帰社時に残量確認
- 災害時に優先使用する車を決める
防災セットが完璧でも、燃料がほとんどなければ車両を使える場面が限られます。
災害時の運行判断をドライバー個人へ丸投げしない
JAFは大雪時の対策として、不要不急の運行を控える、早めに帰社させるなど、会社として運行判断基準を設ける重要性にも触れています。
社用車に防災グッズを積むと、「装備があるから出発してよい」という誤った判断にもつながりかねません。防災用品は危険な状況へ進むための装備ではありません。会社側で、大雪・台風・豪雨・地震後の運行ルールを決め、ドライバーが無理をしなくてよい状態を作ります。
従業員へ最低限共有する5項目
防災セットを全車へ積んだら、場所・報告先・安否連絡・運行中止基準まで共有します。

ドライバー教育|最低限共有する5項目
- 防災セットがどこにあるか
- 脱出ハンマーはどこか
- 使用したら誰へ報告するか
- 災害時の安否・現在地連絡方法
- 会社が運行中止を判断する基準
東京海上ディーアールも、社用車運転中の災害へ備え、防災用品だけでなくドライバー教育や緊急時マニュアルを用意することを推奨しています。JAFの社用車防災対策ガイドでも、災害時に従業員を守るための企業管理者向けの取り組みが整理されています。
導入時によくある失敗
本社に備蓄があるから社用車はゼロ
外出中の従業員は使えません。
拠点ごとに中身が違う
全社で最低基準だけ統一すると管理しやすくなります。
車両ごとに数量を確認しない
最大乗車人数が違えば必要数も変わります。
防災セットを買って終わる
食料・水、季節用品、期限確認が必要です。
誰も期限管理していない
車両台帳へ組み込みます。
夏も冬も同じ
季節加算を作ります。
車両入替でセットを移し忘れる
納車・返却チェックリストへ防災装備を追加します。
災害時の運行を社員任せにする
会社として中止・帰社判断を決めます。
法人向け導入チェックリスト
標準化
- 全車共通の最低装備を決めた
- 防災セットの標準品番を決めた
- 最大乗車人数を把握した
- 水・食料・トイレの追加基準を決めた
車種別
- 営業車の基準
- 現場車の基準
- 長距離車の基準
- 積雪地域の追加品
管理
- 車両台帳へ登録
- 点検担当者
- 半年点検
- 食料期限
- 水期限
- 使用後補充
- 車両入替時の移設
運用
- 燃料ルール
- 大雪・豪雨時の運行判断
- 安否連絡
- ドライバー教育
よくある質問
社用車には防災セットを何個置けばいいですか?
法定の一律数量があるわけではありません。企業内運用として、まず「1台1セット」を共通基準にし、最大乗車人数に応じて水・食料・携帯トイレ等を補完する方法が管理しやすくなります。
1台1セットで十分ですか?
セットの中身と乗車人数によります。水や食料が入っていないセットもあり、トイレの回数にも差があります。1台1セットはスタート地点として考えます。
営業車と現場車は同じ内容でよいですか?
共通の最低装備を揃えた上で、走行距離、積雪地域、現場待機の有無などに応じて追加する方が現実的です。
水・食料は何人分用意しますか?
車の最大乗車人数と走行環境を基に会社で基準を決めます。JAFは社用車の備蓄として1〜2日の一時待機を想定した用品例を紹介していますが、車内スペースもあるため現実的な量を検討する必要があります。
ABO-98だけで全部揃いますか?
脱出・合図・トイレ・衛生等を広く含みますが、水・非常食は標準で含まれていません。別途補完してください。
車載防災用品の点検は年1回で十分ですか?
JAFは年に数回の点検を案内しています。この記事では車両管理へ組み込みやすい例として半年点検を提案しています。
誰が管理するとよいですか?
総務、安全運転管理、車両管理、各営業所など会社によって異なります。重要なのは担当部署・責任者を決め、車両台帳で追える状態にすることです。
まとめ|社用車防災は「買う」から「全車で維持する」へ
社用車に防災グッズを積むこと自体は難しくありません。難しいのは、全車に入っているか、人数分足りるか、期限内か、夏冬で見直したか、使用後に補充したか、車両入替でも維持されているかを継続することです。
まず全車の最低基準を決める。次に、最大乗車人数で水・食料・トイレを補完する。さらに現場車、長距離車、積雪地域などへ季節・走行条件の追加装備を設定する。そして車両台帳へ登録し、半年ごとに点検する。
ここまで仕組みにすれば、社用車防災は「誰かが気づいた時に買う備品」ではなく、会社の安全管理・BCPの一部になります。