熱中症報告体制の作り方連絡体制・対応フロー・ひな形付き

報告体制は「紙を作る」だけでなく、現場ですぐ動ける状態にしておくことが大切です。
2025年6月から職場の熱中症対策が強化され、報告体制の整備・実施手順の作成・関係作業者への周知が求められるようになりました。しかし、「具体的に何を作ればいいのかわからない」「ひな形がほしい」という安全衛生担当者の方も多いはずです。
この記事では、熱中症の報告体制・連絡体制を現場でそのまま形にできるよう、6つのひな形(報告体制図・緊急連絡網・対応フロー・朝礼文例・掲示文例・記録表)を用意しました。「誰が・誰へ・何を・どの順番で・どの手段で連絡するか」が明確になる、実務で使える内容です。
熱中症は、初動の早さが重症化を防ぐ鍵になります。本記事を参考に、今から報告体制を整えていきましょう。なお、ひな形は自社の体制に合わせて調整してお使いください。法令対応の詳細は所轄労働基準監督署にご確認ください。
熱中症の報告体制とは?
熱中症の報告体制とは、熱中症のおそれがある人を早く見つけ、すぐ動くための仕組みです。「誰が・誰へ・どう報告するか」をあらかじめ決めておくことで、初動の遅れを防ぎます。
熱中症のおそれがある人を早く見つけ、すぐ動くための仕組み
報告体制の目的は、書類を整えることではなく、「異変に気づいた人が、迷わずすぐ報告でき、すぐ対応につながる」状態をつくることです。自覚症状がある作業者本人だけでなく、周囲が異変に気づいたときにも、すぐ動ける仕組みが必要です。
報告体制と連絡体制の違い
この2つは混同されがちですが、役割が異なります。
| 用語 | 役割 |
|---|---|
| 報告体制 | 異変に気づいた人が「誰に報告するか」を定めた仕組み(発見→報告の流れ) |
| 連絡体制 | 報告を受けた後、関係者・救急・医療機関へ「どう連絡を回すか」を定めた仕組み(連絡網) |
つまり、「報告体制」で異変をキャッチし、「連絡体制」で対応につなげるという関係です。両方がそろってはじめて、現場で機能します。
連絡先一覧だけでは不十分な理由
「緊急連絡先の一覧を貼ってあるから大丈夫」という現場は少なくありません。しかし、連絡先があっても「誰が最初に連絡するか」「連絡がつかなかったら次に誰へ連絡するか」が決まっていないと、いざというとき動けません。報告体制は、連絡先リストではなく「動きの順番」を決めることが本質です。
2025年6月から求められる職場の熱中症対策と報告体制

2025年6月から、熱中症のおそれがある作業では「報告体制の整備」「実施手順の作成」「関係作業者への周知」が求められています。
対象になりやすい作業
特に対象になりやすいのは、以下のような作業環境です。
- WBGT値28度以上、または気温31度以上の環境
- その環境下で連続1時間以上、または1日4時間を超えて行われる作業が見込まれる場合
建設現場・屋外土木・空調のない倉庫作業・製造ラインなどが該当しやすい領域です。まずは自社の作業環境がこの条件に当てはまるかを確認しましょう。
求められる3つの対応
異変があったとき、誰に・どう報告するかを定める
作業離脱・身体冷却・救急要請・搬送までの手順を作る
朝礼・掲示・教育で、全員に手順を知らせる
報告を待つだけではなく、見つけに行く仕組みも大切
本人からの報告を待つだけでなく、周囲が異変に気づける仕組みも重要です。バディ制での相互確認、休憩時の声かけ、WBGT値の共有などを組み合わせることで、「自覚症状を言い出せない人」も早期に発見できます。
熱中症報告体制を作る5ステップ

報告体制は、「対象を決める→報告先を決める→代替先を決める→判断基準を決める→記録方法を決める」の5ステップで作れます。
ステップ1:報告対象を決める
どんな状態になったら報告するのかを決めます。「めまい・頭痛・吐き気・手足のしびれ・大量の発汗・受け答えがおかしい」など、具体的な症状を列挙しておくと、迷わず報告できます。本人の自覚症状だけでなく、「周囲が異変に気づいた場合」も報告対象に含めます。
ステップ2:第一次報告先を決める
異変に気づいたとき、最初に報告する相手(第一次報告先)を決めます。多くの現場では職長や班長が該当します。「とりあえず誰かに言う」ではなく、「まず○○さん(職長)に言う」と固有の役割で決めておくことが重要です。
ステップ3:連絡がつかない場合の代替先を決める
第一次報告先が不在・連絡がつかない場合に備えて、第二次報告先(現場責任者・安全衛生担当者)を決めておきます。「連絡がつかなかったら次は誰へ」という代替ルートがないと、いざというとき止まってしまいます。
ステップ4:判断基準を決める
作業を離脱させるか、身体を冷やすか、救急要請するか——その判断基準をあらかじめ決めておきます。意識がない・受け答えがおかしい・自力で水分が取れない場合は、ためらわず救急要請を検討します。判断を現場のその場の空気任せにしないことが大切です。
ステップ5:記録と振り返りの方法を決める
熱中症が疑われる事案が発生したら、記録を残します。発生日時・WBGT値・症状・対応内容・搬送の有無などを記録しておくことで、再発防止や体制の見直しに役立ちます。
【ひな形1】熱中症報告体制図
異変の発見から対応までの流れを、一目でわかる体制図にまとめたひな形です。自社の役職名・氏名に置き換えてご利用ください。
① 発見者(本人 または 周囲の作業員)
熱中症のおそれがある症状に気づく
② 第一次報告先:職長 / 班長(氏名:____ 電話:____)
状況確認・作業離脱の指示・身体冷却を開始
③ 第二次報告先:現場責任者 / 安全衛生担当者(氏名:____ 電話:____)
救急要請の判断・関係者への連絡・記録の指示
④ 救急要請(119番)/ 最寄りの医療機関(名称:____ 電話:____)
意識がない・受け答えがおかしい・自力で水分が取れない場合はためらわず通報
【ひな形2】緊急連絡網
連絡先と連絡順をまとめたひな形です。役職名・氏名・電話番号をセットで記載し、現場の見やすい場所に掲示します。
| 区分 | 役職 | 氏名 | 電話番号 |
|---|---|---|---|
| 第一次報告先 | 職長/班長 | ____ | ____ |
| 第二次報告先 | 現場責任者 | ____ | ____ |
| 安全衛生担当 | 安全衛生責任者 | ____ | ____ |
| 本社 | 総務/労務 | ____ | ____ |
| 緊急 | 救急 | — | 119 |
| 緊急 | 最寄り医療機関 | ____ | ____ |
※連絡がつかない場合は、上から順に次の連絡先へ。現場住所・最寄りの目印も併記しておくと、救急要請時に伝えやすくなります。
【ひな形3】熱中症疑い発生時の対応フロー
発見から救急要請までの初動を、手順として並べたひな形です。現場の誰が見ても同じ動きができるようにします。
- 作業を中止し、涼しい場所へ移動(日陰・空調の効いた室内・休憩所)
- 第一次報告先(職長)へ報告(不在時は第二次報告先へ)
- 衣服をゆるめ、身体を冷やす(首・脇の下・足の付け根を冷却)
- 意識がはっきりしていれば、水分・塩分を少量ずつ補給
- 必ず誰かが付き添い、一人にしない(意識・呼吸・反応の変化を観察)
- 重症が疑われる場合は救急要請(119番)(意識がない・受け答えがおかしい・自力で水分が取れない)
- 対応内容を記録する(ひな形6の記録表を使用)

初動の早さが、重症化を防ぐ鍵になります。
【ひな形4】朝礼で使える周知文例
報告体制を朝礼で周知するための文例です。毎日繰り返し伝えることで、いざというとき全員が動けるようになります。
「本日も暑さが厳しくなる予報です。体調がおかしいと感じたら、我慢せずすぐに職長の○○さんへ報告してください。○○さんが不在のときは、現場責任者の△△さんへお願いします。周りの方も、いつもと様子が違う人がいないか確認し、気づいたら声をかけて報告してください。意識がない、受け答えがおかしい、水も飲めないといった重い症状のときは、ためらわず救急車を呼びます。応急セットは□□に置いてあります。本日も無理をせず、安全第一でお願いします。」
【ひな形5】現場掲示用の文例
現場の入口や休憩所に掲示するための文例です。報告体制図・緊急連絡網とあわせて掲示します。
⚠ 熱中症かな?と思ったら
- 作業をやめて、涼しい場所へ
- すぐに職長(○○:____)へ報告
- 体を冷やす(首・脇・足の付け根)
- 水分・塩分をとる(飲めるときだけ)
- 重いとき(意識がない・水が飲めない)は119番
我慢しない/一人にしない/すぐ冷やす
【ひな形6】熱中症発生時の記録表
熱中症が疑われる事案が発生したときに記録する表です。再発防止や体制見直しの基礎資料になります。
| 発生日時 | __年__月__日 __時__分 |
| 発生場所 | ________ |
| 対象者(氏名・年齢) | ________ |
| WBGT値・気温 | WBGT__℃/気温__℃ |
| 症状 | ________ |
| 発見者・報告先 | 発見:___/報告先:___ |
| 実施した対応 | □作業離脱 □身体冷却 □水分補給 □救急要請 □搬送 |
| 搬送先・結果 | ________ |
| 再発防止策 | ________ |
報告体制を作った後に必ず行うべき周知方法

ひな形を作っただけでは機能しません。朝礼・掲示・WBGTの見える化で、全員に繰り返し周知することが大切です。
朝礼で毎日確認する
報告先・救急判断・応急セットの場所を、朝礼で毎日確認します(ひな形4を活用)。繰り返すことで、いざというとき体が動くようになります。
現場に掲示する
報告体制図・緊急連絡網・対応フローを、現場の入口や休憩所に掲示します(ひな形5を活用)。熱中症注意標識とあわせて掲示すると、注意喚起と連絡先確認を同時に促せます。

注意標識と緊急連絡先をセットで掲示すると、報告体制が「見える化」されます。
WBGT値を見える化する
WBGT計を現場に設置し、暑さ指数を数値で共有します。「今日は報告対象になりやすい環境だ」と全員が認識できることで、報告体制が実際に動き出します。
報告体制とセットで整えたい熱中症対策用品
報告体制を現場で機能させるには、「すぐ報告できる」「すぐ判断できる」「すぐ冷やせる」状態を備品でも整えておくことが大切です。
作業中の暑さ対策に:熱中症対策衣類
そもそも熱中症を起こしにくくするため、空調ウェアや冷却用品で作業中の体温上昇を抑えることも有効です。報告体制の出番を減らす「予防」の備えです。

熱中症対策衣類・空調ウェア①
作業中の体温上昇を抑える機能性アイテム。報告体制とあわせて、そもそも熱中症を起こしにくい環境づくりに役立ちます。

熱中症対策衣類・空調ウェア②
暑熱環境で使いやすい対策ウェア。空調・冷却機能で作業中の体感温度を下げます。

熱中症対策衣類・空調ウェア③
現場作業に適した暑さ対策ウェア。安全性と暑熱対策を両立させたい現場に。

熱中症対策衣類・空調ウェア④
屋外・屋内問わず使いやすい暑熱対策装備。作業員の負担軽減に役立ちます。
休憩所で使いやすい冷却・補給アイテム
報告を受けて作業離脱させた後、すぐに身体を冷やせるよう、休憩所に冷却用品をまとめて置いておきます。

休憩時の冷却・リフレッシュ用品①
休憩時に体を冷やすクールダウン用品。報告後の身体冷却にも使えるよう休憩所に常備しておきたい一品です。

休憩時の冷却・リフレッシュ用品②
作業の合間に手軽に使える冷却グッズ。休憩エリアにまとめて置くと誰でも使えます。

休憩時の冷却・リフレッシュ用品③
リフレッシュ・クールダウンに役立つアイテム。蒸し暑い日の休憩時に体感温度を下げます。

休憩時の冷却・リフレッシュ用品④
休憩時の身体冷却用アイテム。冷たいタオルや冷却剤と組み合わせて常備しておきたい一品です。
初動対応に備える:熱中症応急セット
報告を受けてからの初動を、誰でも同じ手順で行えるよう、応急セットを常備します。場所は全員が知っている状態にしておきましょう。


熱中症応急セット(基本タイプ)
冷却剤・経口補水パウダー・救急ガイドなどがまとまった応急セット。報告を受けてからの初動を、誰でも同じ手順で行えるよう支えます。

熱中症応急セット(充実タイプ)
より充実した内容の応急セット。発見から救急要請までの初動対応を支える、現場の安心材料になります。
もしもの重症化に備える
万が一の重症化に備えた緊急対応アイテムも、すぐ取り出せる場所に準備しておくと安心です。
よくある失敗例
連絡先はあるが、誰が最初に連絡するか決まっていない
連絡先一覧があっても「誰が最初に動くか」が決まっていないと、お互いに様子見になって初動が遅れます。第一次報告先を固有の役割で決めておきましょう。
救急判断を現場任せにしている
「呼ぶべきか迷って様子を見ていたら悪化した」というケースは少なくありません。救急要請の判断基準をあらかじめ決め、迷ったら早めに通報する方針を共有しましょう。
応急セットの場所を誰も知らない
応急セットがあっても、場所を知らなければ意味がありません。全員がわかる場所に置き、朝礼でも場所を周知しましょう。
ひな形を作っただけで周知していない
立派なひな形を作っても、引き出しにしまったままでは機能しません。掲示・朝礼・教育で、現場の全員に届けることが大切です。
熱中症報告体制チェックリスト

- 報告対象となる症状を具体的に決めている
- 第一次報告先(職長など)を固有の役割で決めている
- 連絡がつかない場合の代替先を決めている
- 救急要請の判断基準を決めている
- 報告体制図・緊急連絡網・対応フローを掲示している
- 朝礼で報告体制を毎日周知している
- WBGT計を設置し、暑さ指数を見える化している
- 応急セットの場所を全員が知っている
- 熱中症発生時の記録表を用意している
- 発生後の振り返り・再発防止の仕組みがある
よくある質問
Q. 熱中症の報告体制は必ず作らないといけませんか?
2025年6月から、職場の熱中症対策が強化され、熱中症のおそれがある作業を行う際には、報告体制をあらかじめ定め、実施手順を作成し、関係作業者へ周知することが求められています。該当する作業がある事業者は、報告体制の整備が必要と理解してください。詳細は所轄労働基準監督署にご確認ください。
Q. 報告体制のひな形はそのまま使えますか?
本記事のひな形は、現場の規模や体制に合わせて調整して使うことを前提にしています。会社名・担当者名・連絡先・最寄りの医療機関などを自社の情報に置き換え、現場の実態に合った内容に編集してご活用ください。
Q. 緊急連絡網には何を入れるべきですか?
第一次報告先(職長など)、第二次報告先(現場責任者・安全衛生担当者)、緊急連絡先(救急・最寄りの医療機関)に加えて、連絡がつかない場合の代替ルートを入れておくことが重要です。役職名と氏名・電話番号をセットで記載し、誰でも迷わず連絡できるようにします。
Q. 熱中症が疑われる場合、誰が救急車を呼ぶべきですか?
あらかじめ「誰が判断し、誰が119番通報するか」を決めておくことが大切です。現場任せにすると初動が遅れます。意識がない・受け答えがおかしい・自力で水分が取れない場合は、ためらわず救急要請を検討してください。判断に迷う場合も、早めの通報が安全です。
Q. 報告体制とあわせて準備すべきものはありますか?
報告体制を機能させるには、WBGT計(数値判断)、熱中症注意標識・緊急連絡先掲示(見える化)、休憩所の冷却用品、熱中症応急セット(初動対応)などをあわせて準備しておくことが有効です。紙のひな形だけでなく、現場ですぐ動ける状態を整えることが大切です。
まとめ
熱中症の報告体制は、「誰が・誰へ・何を・どの順番で・どの手段で連絡するか」を明確にすることが本質です。本記事の6つのひな形(報告体制図・緊急連絡網・対応フロー・朝礼文例・掲示文例・記録表)を、自社の体制に合わせて編集してご活用ください。
そして、ひな形は作って終わりではなく、朝礼・掲示・WBGTの見える化で全員に周知し、応急セットや冷却用品を「すぐ使える場所」に備えておくことが大切です。紙の体制と現場の備えがそろってはじめて、熱中症の重症化を防ぐ初動につながります。
熱中症注意標識や熱中症計など揃っています!
熱中症の報告体制は、紙のひな形を作るだけでなく、現場で「すぐ報告できる」「すぐ判断できる」「すぐ冷やせる」状態にしておくことが大切です。グリーンセレクトでは、熱中症注意標識、WBGT計、熱中症対策衣類、休憩所用品、応急セットなど、現場で使える熱中症対策用品をまとめてご案内しています。報告体制の整備とあわせて、現場に必要な備品も確認してみてください。
熱中症対策用品をチェックする本ページのひな形は一般的な情報提供を目的としたものです。自社の体制に合わせて編集のうえご活用ください。法令対応の詳細は所轄労働基準監督署・社内安全衛生担当者にご確認ください。症状が重い場合や自力で水分補給できない場合は、ためらわず救急要請(119番)を検討してください。
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