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溶接が暑いときの対策|火花・ヒューム・保護具を崩さず熱中症を防ぐ方法【2026年版】

公開日・最終更新日:2026年7月29日 | 熱中症対策ナビ編集部

夏の溶接工場で保護具を維持しながらスポット冷却と局所排気を使う作業者

夏の溶接作業は、外気温だけでなく、アークや加熱された母材からの放射熱、長袖・革手袋・溶接面・呼吸用保護具による熱放散の妨げ、連続作業、風通しの悪い屋内環境が重なります。単に扇風機を強く当てたり、保護具を外したりすると、溶接品質やヒューム対策、火傷防止を損なうおそれがあります。

この記事では、溶接工本人、工場長、安全衛生担当、設備・購買担当者に向けて、溶接の安全条件を維持したまま暑さを下げる順番を整理します。設備、個人冷却、休憩、WBGT、作業計画、異常時対応までを一つの導入判断として解説します。

この記事の結論

溶接が暑いときは、①発熱体と作業者の間を遮る、②作業時間と連続時間を短くする、③局所排気・全体換気・冷却風の役割を分ける、④スポットクーラーや圧縮空気式の個人冷却器、冷却ベストを作業条件に合わせて使う、⑤冷房休憩所、水分・塩分、WBGT、体調確認を組み合わせます。工場扇やファン付きウェアは便利ですが、風がシールドガスやヒューム捕集へ影響する配置、火花が入る使い方は避け、メーカー指示と現場のリスクアセスメントを優先してください。溶接面・手袋・防炎保護具・呼吸用保護具を暑いから外すのは対策ではありません。

先に選ぶなら、冷却方法を4タイプに分ける

電源・工場エア・移動性・作業場の広さで第一候補を分け、火花適合と保護具干渉を購入前に確認します。

現場条件第一候補向く理由購入前の確認
電源を取れ、作業位置が比較的固定スポットクーラー冷風を作業者へ集中させやすい排熱、ドレン、電源、冷風がアークへ直撃しない配置
工場エアを利用でき、身体を直接冷やしたい圧縮空気式個人冷却器火花作業でファン付きウェアを使いにくい場面の候補乾燥した清浄圧縮空気、圧力・ホース、上着との適合
移動が多い、ハーネスや保護具の下で冷やしたい冷却ベスト作業者と一緒に移動できる火花・熱・電池・素材への適合、保護具との干渉
広い作業場の空気を動かしたい工場扇滞留熱を減らし、休憩・準備区域にも使いやすい溶接部への直風、ヒュームの拡散、転倒・粉じん

熱中症対策アイテムを先に確認

空調服一覧冷却ベスト一覧熱中症対策インナー一覧工場扇一覧スポットクーラー一覧

※価格・在庫・適合条件はリンク先で最新情報をご確認ください。冷却用品は熱中症防止措置や溶接安全設備の代替ではなく、複数対策の一部として使用します。

Suiden スポットエアコン SS-25DL-1Tの商品画像
設備冷却

Suiden スポットエアコン SS-25DL-1T

溶接台・検査台など立ち位置が固定しやすい現場で、冷風を身体側へ集中させる候補です。

購入前確認:排熱、ドレン、電源、アークへの直風を確認してください。

向く用途:作業位置が固定する溶接台・検査台
特徴:単相100V・1口・自動首振り(Excel掲載)

シゲマツ 個人用冷却器 クーレット VTW-7K2Tの商品画像
個人冷却

シゲマツ 個人用冷却器 クーレット VTW-7K2T

工場エアを使える高温作業で、身体を直接冷やすチューブタイプの候補です。

購入前確認:清浄乾燥空気、ホース、圧力、上着適合を確認してください。

向く用途:工場エアを使える高温作業
特徴:圧縮空気式・チューブタイプ

サンコー ハーネス対応冷蔵ベスト RZFHTVSBKの商品画像
移動冷却

サンコー ハーネス対応冷蔵ベスト RZFHTVSBK

移動が多い作業やハーネス併用で、背中を局所冷却したい場合の候補です。

購入前確認:火花作業適合、配線、保護具との干渉を確認してください。

向く用途:移動が多い作業・ハーネス併用
特徴:ペルチェ冷却・モバイルバッテリー

TRUSCO 保冷剤用クールベスト TCV-BKの商品画像
電源不要

TRUSCO 保冷剤用クールベスト TCV-BK

電源を使いにくい現場で、保冷剤交換運用ができる場合の候補です。

購入前確認:保冷剤交換、凍結設備、姿勢・圧迫を確認してください。

向く用途:電源を使いにくい現場
特徴:保冷剤用ベスト

なぜ溶接作業は夏に特に暑くなるのか

アークと加熱された母材が放射熱源になる

溶接は熱を利用して金属を接合する作業です。作業者は外気の暑さに加え、アーク、溶融部、予熱・後熱、温度を持った母材や治具の近くに立ちます。大型構造物、狭いタンク内、造船・鉄骨、風通しの悪い工場では、周囲へ逃げにくい熱も負担になります。

地域の天気予報や屋外の暑さ指数だけでは、炉、溶接箇所、日射、屋根面からの照り返しなど、作業者が実際に受ける熱を反映できないことがあります。厚生労働省の2026年ガイドラインも、熱源近くや冷房がなく風通しの悪い屋内では、作業場所でWBGTを実測する必要性を示しています。詳細はWBGT基準値と労働安全衛生法も参照してください。

必要な保護具が身体からの熱放散を妨げる

溶接では、長袖の作業着、溶接面、革手袋、腕カバー、前掛け、安全靴、状況に応じた呼吸用保護具などが必要です。これらは火花、アーク光、熱、ヒュームから身体を守るためのものですが、通気性や透湿性が低い衣服・保護具は熱放散を妨げます。

したがって、「暑いので袖をまくる」「面をずらす」「手袋を外す」「呼吸用保護具を緩める」ではなく、保護具を維持したまま環境・作業・身体を冷やす設計が必要です。

連続作業と姿勢負担が体内の熱産生を増やす

立ち姿勢、しゃがみ姿勢、上向き作業、重量物の位置合わせ、グラインダー作業を組み合わせる現場では、身体作業負荷も高くなります。厚生労働省のガイドラインは、高温多湿、連続作業、通気性の低い衣服・保護具、身体作業負荷を熱中症リスク要因として挙げています。

溶接の暑さ対策は「5つの順番」で組み立てる

1. 熱源と作業者の間を遮る

最初に検討するのは、作業者へ届く熱を減らすことです。可能な現場では、発熱体との間に用途に適した遮熱板、遮へい物を設置し、加熱済み部材の仮置き場所を作業者から離します。溶接遮光フェンスは周辺作業者のアーク光保護が主目的であり、製品仕様を確認せず遮熱板として扱わないでください。

作業台の向き、治具、ロボット化、ポジショナー、段取りを見直し、作業者が熱源へ長時間正対しない配置にすることも有効です。

2. 暑い時間帯と連続作業を減らす

高負荷の本溶接を午前の比較的涼しい時間へ寄せ、午後は仮組み、検査、清掃、材料準備へ切り替える方法があります。連続して面を下ろす時間を短くし、区切りごとに冷房休憩所へ移動できる工程にします。

生産数だけで休憩を決めず、WBGT、衣服、作業強度、暑熱順化の状況に応じて作業時間を調整します。新規入職者、休み明け、応援者、暑熱順化していない人は、同じ工程でも負担が大きくなります。

3. ヒューム捕集・換気・冷却風を分ける

溶接現場の送風で最も重要なのは、すべての風を一つの扇風機で解決しようとしないことです。

工場扇を溶接部へ直接当てると、シールドガスを乱す、ヒュームを作業者や周辺へ拡散させる、火花を飛散させる可能性があります。冷風は作業者の背中・脚・待機位置などへ当て、トーチ周辺、局所排気フード、周辺作業者への影響を実作業で確認します。

金属アーク溶接等作業には、溶接ヒュームに関する換気、濃度測定、呼吸用保護具、フィットテストなどの規制があります。暑さ対策の送風で、必要なヒューム対策を弱めないでください。

4. 作業条件に合う個人冷却を追加する

設備でWBGTを十分下げられない場合は、個人冷却を組み合わせます。選択肢は、圧縮空気式、ペルチェ式、保冷剤・冷水式、ファン付きウェア、冷感インナーなどです。工場個人冷却の考え方は工場の暑さ対策は個人で何ができる?も参考になります。

ただし、溶接中は火花、溶融金属、鋭利部、ケーブル、ハーネス、呼吸用保護具があるため、一般屋外作業と同じ選び方はできません。製品の素材、使用禁止条件、バッテリー位置、上から着る保護具との干渉を確認します。

5. 冷房休憩・水分塩分・体調確認・異常時対応を固定運用にする

商品を導入しても、休憩が取りにくい、飲料が遠い、体調不良を申告しづらい現場では機能しません。作業場所の近くに冷房または涼しい休憩場所を確保し、飲料、塩分、氷、身体冷却用品、連絡手段を置きます。

2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則では、一定の熱中症のおそれがある作業について、報告体制、重篤化を防ぐ手順、その周知が義務付けられました。商品購入と同時に、誰へ連絡し、誰が作業離脱を判断し、どこで冷却し、必要時に医療機関へつなぐかまで決めます。

ヒューム捕集・換気・冷却風・シールドガスを分ける

局所排気・全体換気・冷却風・シールドガスを干渉させない溶接場の配置

工場扇を溶接部へ直接当てると、シールドガスを乱す、ヒュームを周辺へ拡散させる、火花を飛散させる可能性があります。冷風は作業者の背中・脚・待機位置へ当て、トーチ周辺と局所排気フードへの影響を実作業で確認します。

溶接現場で使いやすい暑さ対策用品の選び方

電源、排熱、圧縮空気、移動性、火花適合、保護具干渉を比較します。価格だけで選ばず、作業工程ごとに使用位置を決めてください。

スポットクーラー:作業位置が固定しやすい現場

スポットクーラーの冷風を溶接アークへ直接当てず作業者へ送る配置

Suiden スポットエアコン SS-25DL-1Tは、Excel掲載上、単相100V・1口・首振りありのモデルです。メーカーは冷風1口、全閉式ファンモータ、自動首振り、R32冷媒などを案内しています。

向くのは、溶接台、検査台、組立台など作業者の立ち位置が比較的固定している現場です。冷風ダクトを身体へ向けつつ、アークやシールドガスへ直撃しない角度にします。

購入前に確認する項目は、電源、ブレーカー容量、排熱の逃がし先、ドレン、設置寸法、移動経路、粉じん・スパッタからの距離です。排熱を同じ閉鎖空間へ出すと、作業場全体の温度を上げることがあります。

Suiden スポットエアコン SS-25DL-1Tの商品画像
設備冷却

Suiden スポットエアコン SS-25DL-1T

溶接台・検査台など立ち位置が固定しやすい現場で、冷風を身体側へ集中させる候補です。

購入前確認:排熱、ドレン、電源、アークへの直風を確認してください。

向く用途:作業位置が固定する溶接台・検査台
特徴:単相100V・1口・自動首振り(Excel掲載)

スポットクーラー一覧

圧縮空気式個人冷却器:工場エアを使える高温作業

圧縮空気式個人冷却器と冷却ベストを溶接保護具との干渉を確認して選ぶ様子

シゲマツ 個人用冷却器 クーレット VTW-7K2Tは、圧縮空気のみで冷却するチューブタイプです。メーカーは、オイルミストを含まない乾燥した圧縮空気を供給すること、作業時には上着を着用することなどを注意事項として示しています。

ファン付きウェアを火花の近くで使いにくい現場や、設備の前で作業者が移動する範囲が限られる現場の候補になります。一方、エアホースが必要で、引っ掛かり、流量、圧力、コンプレッサー能力、空気品質、騒音、作業動線を確認しなければなりません。

シゲマツ 個人用冷却器 クーレット VTW-7K2Tの商品画像
個人冷却

シゲマツ 個人用冷却器 クーレット VTW-7K2T

工場エアを使える高温作業で、身体を直接冷やすチューブタイプの候補です。

購入前確認:清浄乾燥空気、ホース、圧力、上着適合を確認してください。

向く用途:工場エアを使える高温作業
特徴:圧縮空気式・チューブタイプ

ペルチェ式・保冷剤式冷却ベスト:移動する作業者

サンコー ハーネス対応冷蔵ベスト RZFHTVSBKは、メーカーが2つの冷却ユニット、ハーネス対応、モバイルバッテリー使用を案内する製品です。背中を局所的に冷やしやすく、移動が多い作業の候補になります。冷却ベストの選び方の基本は冷却ベストは現場で効果ある?もあわせてご覧ください。

一方、バッテリーと配線を伴うため、火花の飛散範囲、熱源との距離、上から着用する溶接用保護具、ハーネス、呼吸用保護具との干渉を確認します。製品が溶接・火気作業に適合するかは、取扱説明書とメーカーへ確認してください。

TRUSCO 保冷剤用クールベスト TCV-BKのような保冷剤式は、電池を使わず導入しやすい一方、交換用保冷剤の凍結・運搬・交換サイクルが必要です。冷却材が硬くなって姿勢を妨げないか、保護具の下で圧迫しないかも確認します。

サンコー ハーネス対応冷蔵ベスト RZFHTVSBKの商品画像
移動冷却

サンコー ハーネス対応冷蔵ベスト RZFHTVSBK

移動が多い作業やハーネス併用で、背中を局所冷却したい場合の候補です。

購入前確認:火花作業適合、配線、保護具との干渉を確認してください。

向く用途:移動が多い作業・ハーネス併用
特徴:ペルチェ冷却・モバイルバッテリー

TRUSCO 保冷剤用クールベスト TCV-BKの商品画像
電源不要

TRUSCO 保冷剤用クールベスト TCV-BK

電源を使いにくい現場で、保冷剤交換運用ができる場合の候補です。

購入前確認:保冷剤交換、凍結設備、姿勢・圧迫を確認してください。

向く用途:電源を使いにくい現場
特徴:保冷剤用ベスト

冷却ベスト一覧

工場扇:作業場・準備場所・休憩場所の空気を動かす

TRUSCO 全閉式工場扇 AF-45Aは、据置きタイプのアルミハネ工場扇です。広い作業場の滞留熱を減らす、材料準備場所や休憩場所へ風を送る用途で検討できます。

ただし、溶接中の作業者へ真正面から強風を当てる配置は避けます。局所排気フードの捕集状態、シールドガス、火花、粉じん、周辺作業者を確認し、必要であれば風速や角度を下げます。工場扇は冷気を作る機械ではないため、室温が極端に高い現場ではスポットクーラーや冷房休憩所と組み合わせます。

TRUSCO 全閉式工場扇 AF-45Aの商品画像
作業場送風

TRUSCO 全閉式工場扇 AF-45A

準備場所・休憩場所・広い作業場の空気を動かす候補です。アークへ直風を当てません。

購入前確認:シールドガス、ヒューム捕集、火花への影響を確認してください。

向く用途:準備場所・休憩場所・広い作業場
特徴:据置き・アルミハネ

工場扇一覧

ファン付きウェア:直火花作業と周辺作業を分けて判断する

火花の出ない準備作業と溶接作業を分けてファン付きウェアを使用する現場

空調風神服ベスト 664001011のようなファン付きウェアは、汗の蒸発を促して身体の熱を逃がす補助になります。しかし、溶接、溶断、グラインダーなど火花が飛ぶ場所では、素材、ファン開口部、バッテリー、内部へ火花が入った場合の危険を考慮しなければなりません。

東京労働局は、火気取り扱い作業におけるファン付き作業服の適正使用について公式動画を公開しています。溶接中に一律使用できると考えず、次を確認してください。

  1. メーカーが溶接・火気作業を禁止していないか
  2. 難燃・防炎仕様や火花侵入防止の対策が必要か
  3. 上に着る溶接用上着・前掛け・腕カバーと干渉しないか
  4. ファン開口部へ火花が入らない作業姿勢・位置か
  5. 仮組み、運搬、清掃、検査など火花が出ない工程だけで使うか
  6. 破損、焦げ、穴、バッテリー異常を毎日点検するか

直火花作業で適合を確認できない場合は、準備作業や休憩時に限定し、スポット冷却、圧縮空気式個人冷却、冷房休憩を優先します。ファン付きウェアは火花作業へ無条件に推奨しません。

空調風神服ベスト 664001011の商品画像
注意付き

空調風神服ベスト 664001011

適合確認済み工程・非火花工程での使用候補です。直火花作業へ無条件推奨しません。

購入前確認:火花、素材、ファン開口部、バッテリーを確認してください。

向く用途:適合確認済み工程・非火花工程
特徴:ファン付きウェア

空調服一覧

冷感インナー:保護具を外さず汗処理を補助する

BURTLE 半袖エアーフィット 4071のようなインナーは、汗処理や肌離れを補助します。ただし「接触冷感」の表示だけで熱中症リスクを十分下げられるわけではありません。

溶接用上着の下へ着る場合は、素材が熱や火花に対して適切か、製品表示、会社の作業標準、保護具メーカーの指示を確認します。火気作業では、溶融しやすい素材が肌へ密着する危険も含め、安易に一般スポーツ用インナーを選ばないことが重要です。

BURTLE 半袖エアーフィット 4071の商品画像
インナー

BURTLE 半袖エアーフィット 4071

溶接用上着の下で汗処理を補助する候補です。火気作業の素材適合を確認します。

購入前確認:火気作業での素材適合を確認してください。

向く用途:溶接用上着の下の汗処理補助
特徴:半袖インナー

熱中症対策インナー一覧

冷房休憩所:個人用品だけに頼らない

溶接工場の近くに設けた冷房休憩所でWBGTと体調を確認する様子

Suiden クーラーテント SS-TNT-2424-Cのような休憩設備は、作業場所の近くに冷却できる退避場所を作る候補です。厚生労働省の2026年ガイドラインも、冷房を備えた休憩場所または日陰等の涼しい場所を確保し、身体冷却を行えるようにすることを示しています。

溶接区域とは火花・ヒュームが入らないよう分離し、飲料、塩分、氷、体調確認票、連絡先、横になれる空間を用意します。スポットクーラーの排熱を休憩所内へ戻さない配置も必要です。

Suiden クーラーテント SS-TNT-2424-Cの商品画像
休憩設備

Suiden クーラーテント SS-TNT-2424-C

作業場所近くに冷房休憩所を作る候補です。溶接区域とは分離します。

購入前確認:溶接区域との分離、冷房、排熱、移動距離を確認してください。

向く用途:作業場所近くの冷房休憩所
特徴:2.4m×2.4m(Excel掲載)

冷却用品の比較表

方式代表商品主な長所主な制約溶接現場での配置
スポット冷却Suiden SS-25DL-1T冷風を作業位置へ集中排熱・ドレン・電源が必要トーチ・シールドガスを避けて身体側へ
圧縮空気式シゲマツ VTW-7K2T身体を直接冷やし、冷媒不要清浄な圧縮空気とホースが必要ホースの引掛かりと上着適合を確認
ペルチェ式サンコー RZFHTVSBK移動しながら局所冷却電池・配線・火花適合の確認保護具・ハーネスとの干渉を確認
保冷剤式TRUSCO TCV-BK電源不要で比較的導入しやすい凍結設備と交換運用が必要保護具下の圧迫・姿勢を確認
工場扇TRUSCO AF-45A広い範囲の空気を動かす冷気は作らず、風が工程へ影響直風を避け、局所排気と両立
ファン付きウェア空調風神服ベスト移動性が高く汗の蒸発を補助火花・素材・バッテリーのリスク適合確認済み工程、または非火花工程
冷感インナーBURTLE 4071汗処理・肌離れの補助単独では環境温度を下げない素材適合を確認し保護具の下へ
冷房休憩所Suiden クーラーテント身体を確実に冷やす退避場所設置空間と冷房・排熱計画が必要溶接区域から分離し速やかに移動可能に

溶接用保護具は暑さ対策とセットで点検する

暑さ対策用品を選ぶ際は、溶接面、手袋、腕カバー、前掛け、呼吸用保護具を同時に確認します。軽量化だけを理由に必要な保護範囲を減らさないでください。

溶接面

TRUSCO ヘルメット取付タイプ溶接面 TPW-Hは、ヘルメットへ取り付けるタイプです。作業姿勢、遮光度、ヘルメットとの適合、呼吸用保護具との干渉を確認します。溶接面を上げたままアークを見ることはできません。

溶接用牛革手袋

ミドリ安全 溶接用牛革手袋 MT-107D-5Pは、火花・熱から手を守る溶接用手袋です。汗で濡れた手袋は着脱しにくく、劣化や穴を見落としやすいため、交換品と乾燥場所を準備します。

腕カバー・前掛け

TRUSCO パイク溶接保護具 腕カバー PYR-UKやTRUSCO 胸付前掛 ワイドタイプ PYR-MK-Lは、火花が当たりやすい範囲を補います。冷却ベストやファン付きウェアの上から使う場合は、裾・ベルト・配線・ファンを塞ぐ位置と保護範囲を実物で確認します。

溶接遮光フェンス

TRUSCO 溶接遮光フェンス YF1515-GNは、周辺作業者をアーク光から分離するための候補です。冷風や換気の流れを変える可能性があるため、設置後にヒューム捕集と暑熱環境を再確認します。遮光フェンスは局所排気や遮熱板の代替ではありません。

TRUSCO 溶接面 TPW-Hの商品画像
溶接面

TRUSCO 溶接面 TPW-H

ヘルメット取付タイプの溶接面です。遮光度と呼吸用保護具との適合を確認します。

購入前確認:遮光度・ヘルメット・呼吸用保護具との適合を確認してください。

向く用途:溶接面・ヘルメット併用
特徴:ヘルメット取付タイプ

ミドリ安全 溶接用牛革手袋 MT-107D-5Pの商品画像
手袋

ミドリ安全 溶接用牛革手袋 MT-107D-5P

手・手首の火花保護に使う溶接用牛革手袋です。交換在庫を準備します。

購入前確認:穴、焦げ、濡れ、交換在庫を確認してください。

向く用途:手・手首の火花保護
特徴:牛革・5双組(商品名より)

TRUSCO 溶接遮光フェンス YF1515-GNの商品画像
周辺保護

TRUSCO 溶接遮光フェンス YF1515-GN

周辺作業者の遮光区画に使う候補です。設置後に換気と冷却風を再確認します。

購入前確認:設置後の換気・冷却風・動線を再確認してください。

向く用途:周辺作業者の遮光区画
特徴:1515型・キャスター・緑(商品名より)

TRUSCO パイク溶接保護具 腕カバー PYR-UKの商品画像
腕保護

TRUSCO パイク溶接保護具 腕カバー PYR-UK

前腕の火花・熱保護を補います。冷却用品との干渉を確認します。

購入前確認:冷却用品との干渉と保護範囲を確認してください。

向く用途:前腕の火花・熱保護
特徴:腕カバー

TRUSCO パイク溶接保護具 胸付前掛 PYR-MK-Lの商品画像
前掛け

TRUSCO パイク溶接保護具 胸付前掛 PYR-MK-L

胸・腹部の火花保護に使う候補です。ファンや配線を塞がないか確認します。

購入前確認:ファン・配線・ベルトを塞がないか確認してください。

向く用途:胸・腹部の火花保護
特徴:胸付・ワイドタイプ

WBGTは「天気」ではなく溶接位置で測る

2026年の厚生労働省ガイドラインは、熱中症リスク評価の基本をWBGTの把握としています。JIS Z 8504またはJIS B 7922に適合した指数計を準備し、時刻や場所による変化を考慮して随時把握する考え方が示されています。

溶接現場では次の場所を分けて測ります。

測定値には、衣服の種類に応じた着衣補正を検討します。溶接用保護具や呼吸用保護具を着用する作業は、一般的な軽装作業より熱がこもりやすいため、同じWBGTでも作業時間と休憩を厳しく見る必要があります。

2026年版・溶接現場の1日運用例

作業開始前

  1. 当日の作業場所ごとのWBGT予測と実測計画を確認する
  2. 前日の飲酒、睡眠、朝食、体調、暑熱順化を確認する
  3. 局所排気、スポットクーラー、工場扇、冷房休憩所を試運転する
  4. 冷風を入れた状態でアーク品質とヒューム捕集を確認する
  5. 飲料、塩分、保冷剤、予備バッテリー、交換手袋を配置する
  6. 体調不良時の報告先、離脱場所、搬送判断を周知する

作業中

休憩時

終業後

熱中症は退勤後に悪化することがあります。頭痛、吐き気、強いだるさ、判断力低下などがある場合は一人で帰宅させず、社内手順に従って医療相談・受診を判断します。翌日の配置や作業量にも反映します。

熱中症のおそれがある人を見つけたときの対応

溶接作業中の体調不良者を作業から離脱させ身体を冷却し連絡する訓練

対象作業では、報告体制と重篤化防止手順を事前に整備し、関係者へ周知します。異常を感じた本人だけでなく、周囲が異変を見つけた場合もすぐ報告できるようにします。応急対応の基本は熱中症で最初にすることも参照してください。

基本は次の流れです。

  1. 溶接機器と作業場所を安全な状態にする
  2. 本人を作業から離脱させる
  3. 冷房のある場所または涼しい場所へ移動する
  4. 衣服・保護具を安全に緩め、身体冷却を開始する
  5. 意識、受け答え、自力で飲めるかを確認する
  6. 一人にせず見守る
  7. 回復しない、意識がおかしい、自力で飲めない場合などは救急要請を含め速やかに医療へつなぐ
  8. 搬送まで冷却を継続する

無理に水分を飲ませる対応は避け、会社の手順と専門機関の指示に従ってください。一定の熱中症のおそれがある作業では、報告体制、作業離脱・身体冷却・医療等の手順、関係者への周知が必要です。協力会社や一人親方を含め、現場で迷わない連絡先と手順を掲示します。

よくある失敗

扇風機をアークへ直撃させる

作業者は涼しくても、シールドガス、ヒューム捕集、火花の飛散へ影響することがあります。作業者側へ冷風を回し、実際の溶接品質と捕集状態を確認します。

スポットクーラーの排熱を同じ部屋へ戻す

一人は涼しくても、閉鎖空間全体の温度が上がることがあります。排熱ダクトや配置を含めて設計します。

空調服を「溶接でも必ず使える」と考える

火花、素材、ファン開口部、バッテリーの条件を確認せず使うのは危険です。メーカー指示とリスクアセスメントに基づき、非火花工程へ限定する判断も必要です。

冷却ベストを入れたため休憩を減らす

個人冷却は補助策です。WBGT、連続作業、休憩、水分塩分、体調確認、異常時対応を省略できません。

暑いので保護具を簡略化する

火傷、アーク光、ヒュームばく露の危険が増えます。保護具を維持したまま、設備・工程・休憩・個人冷却で負担を下げます。

屋外の予測値だけで屋内溶接場を判断する

熱源、屋根、壁、風通しにより作業位置のWBGTは異なります。実測を基本にします。

法人担当者向け導入チェックリスト

FAQ

溶接中に扇風機を当ててもよいですか?

一律に不可ではありませんが、アークやトーチへ直接当てず、シールドガス、溶接品質、局所排気の捕集、火花の飛散へ影響しない配置を確認してください。作業者の背中・脚、準備場所、休憩場所へ風を送る方が管理しやすい場合があります。

溶接で空調服は使えますか?

製品と作業条件によります。火花・溶融金属が飛ぶ作業では、素材、ファン開口部、バッテリー、難燃・防炎仕様、上から着る保護具を確認し、メーカーが禁止していないことを確認してください。適合を確認できない場合は、火花が出ない準備・検査・運搬工程や休憩時に限定します。

スポットクーラーと工場扇はどちらがよいですか?

作業位置を直接冷やしたいならスポットクーラー、広い範囲の空気を動かすなら工場扇です。室温が高い場所では工場扇だけで熱風になることがあるため、スポット冷却や冷房休憩所を組み合わせます。どちらも溶接部・局所排気への風の影響を確認します。

溶接面の中が暑いときはどうしますか?

面を外して溶接するのではなく、短い作業区切り、冷風の配置、個人冷却、冷房休憩、吸汗性と火気適合を確認したインナーで負担を下げます。自動遮光面や送風形保護具を検討する場合も、必要な遮光度と呼吸保護性能を確認してください。

冷却ベストだけで熱中症対策になりますか?

なりません。冷却ベストは身体冷却を補助しますが、WBGT低減、作業時間調整、休憩、水分・塩分、体調確認、報告体制、異常時対応と組み合わせます。

溶接ヒューム対策と暑さ対策は同時にできますか?

できますが、風の設計が重要です。局所排気で発生源から捕集し、全体換気で屋内空気を入れ替え、冷却風は作業者へ届かせます。一つの大型扇風機だけで三つを代替しないでください。

WBGT28度以上なら必ず作業を中止しますか?

WBGTだけで一律に決まるものではなく、作業強度、暑熱順化、衣服・保護具、実施している対策を含めて基準値と作業計画を判断します。一方、2025年施行の報告体制等の義務は、WBGT28度以上または気温31度以上の場所で、継続1時間以上または1日4時間を超える見込みの作業が対象です。現場の安全衛生担当者が最新法令・ガイドラインに基づいて運用してください。

まとめ

溶接が暑いときは、保護具を減らしたり、強い風をアークへ直接当てたりするのではなく、熱源遮へい、工程変更、ヒューム捕集、換気、冷却風、個人冷却、冷房休憩、WBGT、体調確認を役割別に組み合わせます。

作業位置が固定ならスポットクーラー、工場エアを使えるなら圧縮空気式個人冷却器、移動が多いなら冷却ベスト、広い範囲の滞留熱には工場扇が候補です。ファン付きウェアは火花作業への適合を確認し、必要なら非火花工程に限定します。

熱中症対策用品をまとめて確認

溶接用品をまとめて確認

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参考情報