
倉庫・物流現場の熱中症対策ガイドピッキング・荷役・出荷場まで「場所」と「作業動線」で考える
倉庫や物流センターは屋内でも、大空間で空調が効きにくい、シャッター開放で外気が入る、トラックバースが暑くなるなど、熱がこもりやすい環境になる場合があります。「どこで測るか」「どこに補給用品を置くか」「誰が声をかけるか」まで含めて、場所と作業動線に合わせて整えることが大切です。
倉庫・物流現場では、なぜ熱中症対策が重要なのか
倉庫や物流センターは屋内作業が中心でも、必ずしも涼しい環境とは限りません。大空間で空調が効きにくい、屋根や外壁から熱がこもる、シャッター開放で外気が入る、トラックバース付近が暑くなるなど、倉庫ならではの暑さリスクがあります。倉庫全体を涼しくするだけでなく、作業者が実際にいる場所、移動する動線、休憩・補給のしやすさを含めて、現場に合った熱中症対策を設計することが重要です。
大空間で空調が効きにくい
天井が高く広い倉庫では、空調や送風が作業者の位置まで届きにくい場合があります。
トラックバースが暑くなりやすい
シャッター開放、外気流入、荷物の積み込み・荷降ろしが重なる場所は、特に注意が必要です。
作業者が広範囲に分散しやすい
ピッキングや構内搬送では作業者が広い範囲を移動するため、体調変化に気づきにくいことがあります。
補給や休憩が個人任せになりやすい
休憩所が遠い、補給ポイントが少ない場合、水分・塩分補給のタイミングを逃しやすくなります。
⚠️ 2025年6月施行|労働安全衛生規則改正のポイント
WBGT28度以上または気温31度以上の作業場で、継続1時間以上または1日4時間を超える見込みの作業については、熱中症のおそれがある作業者の報告体制や悪化防止手順を事業場ごとに定め、関係作業者へ周知することが求められています。倉庫・物流現場でも条件に該当する場合があるため、商品を揃えるだけでなく「誰に・どうやって報告するか」を文書化しておくことが重要です。
倉庫・物流の熱中症対策は「5つの現場」で考える
倉庫全体を一括で考えるよりも、作業場所ごとに分けて確認すると整理しやすくなります。ここでは特に確認したい5つの現場を紹介します。

保管エリア
棚卸し、在庫確認、ピッキング作業で長時間滞在することがあります。ラック間は空気が流れにくく、場所によって暑さがこもることがあります。WBGT・温湿度の確認、風通し、ピッキングルート上の補給ポイント設置を検討しましょう。
ピッキングエリア
ピッキング作業者は倉庫内を広く移動します。休憩所が遠い場合や補給ポイントが限られていると、水分補給のタイミングを逃しやすくなります。ルート上に給水・塩分補給ポイントを設け、巡視や声かけを運用に組み込むことが重要です。
仕分け・検品・梱包エリア
比較的作業位置が固定されやすいため、スポットクーラーや業務用扇風機などの局所冷却と相性が良いエリアです。作業台付近の暑さ、風向き、補給用品の配置、休憩ローテーションを確認しましょう。
トラックバース・荷捌き場
倉庫・物流現場の中でも特に暑さ対策が重要な場所です。シャッターの開閉、外気の流入、トラックの待機熱、積み込み・荷降ろしによる身体負荷が重なります。WBGT計、送風機、補給用品、ドライバー向け掲示が必須です。
フォークリフト・構内搬送エリア
フォークリフト作業者は座位で長時間作業することがあります。車両にエアコンがない場合や停車・待機場所に熱がこもる場合は注意が必要です。首元冷却、冷却ベスト、無線・インカムでの声かけ、定期的な降車休憩を検討しましょう。
まず確認したい、倉庫・物流向け5つの基本対策
倉庫・物流現場の熱中症対策では、大空間・トラックバース・荷役作業・作業動線による暑さリスクを想定し、WBGT確認、補給ポイントの配置、巡視・休憩運用、身体冷却、体調不良時の報告体制を組み合わせて整えることが重要です。
※ 熱中症を完全に防げる単一の方法はありません。現場環境・作業内容に応じて複数の対策を組み合わせることが重要です。
測る|作業者がいる場所で確認
WBGT計や温湿度計を、作業者が実際にいる場所で確認します。事務所や入口だけでなく、ピッキングエリア、仕分け場、トラックバース、フォークリフト待機場所など、暑くなりやすい場所ごとに確認することが大切です。
置く|動線上に補給ポイント
倉庫は作業者が広く移動するため、水分・塩分補給用品や冷却用品を「どこに置くか」が重要です。休憩所だけでなく、ピッキングルート、出荷場、荷捌き場付近にも補給ポイントを設けると、個人任せになりにくくなります。
回す|巡視と声かけで運用
補給や休憩は、用品を置くだけでは徹底されません。班長、リーダー、倉庫管理者が巡視し、声かけや小休止のタイミングを運用に組み込むことが重要です。
冷やす|作業内容に合った冷却用品
空調服、冷却ベスト、ネッククーラー、冷却タオル、保冷剤などを作業内容に合わせて選びます。ピッキング作業者、フォークリフト作業者、荷役作業者では適した冷却用品が異なります。
知らせる|報告ルートと手順
体調不良時に誰へ報告するか、どこで休むか、緊急時にどう対応するかを事前に共有します。派遣スタッフ、短期スタッフ、ドライバー、協力会社にも伝わる掲示や朝礼での周知が重要です。
作業別に見る、必要な熱中症対策
同じ倉庫内でも、ピッキング、仕分け、荷役、フォークリフト作業では、身体負荷や補給のしやすさが異なります。作業内容に合わせて対策を整理しましょう。

ピッキング作業
倉庫内を歩き回ることが多く、本人が補給タイミングを逃しやすい作業です。ピッキングルート上の給水ポイント、空調服・冷却ベスト、冷却タオル、塩分補給用品、ハンディ端末運用と連動した休憩タイミング、巡視・声かけを検討しましょう。
仕分け・検品・梱包作業
作業位置が固定されやすいため、局所冷却と相性が良い作業です。スポットクーラー、業務用扇風機、作業台近くのWBGT確認、飲料・塩分補給用品、風向き調整、休憩ローテーションを確認しましょう。
荷役・積み込み・荷降ろし
身体負荷が高く、短時間でも発汗しやすい作業です。トラックバース付近の暑さも重なりやすいため、重点的な対策が必要です。WBGT確認、送風機・スポットクーラー、飲料・塩分補給、小休止、保冷ボックス、声かけを検討しましょう。
フォークリフト作業
座位作業が続き、体調変化に気づきにくい場合があります。倉庫内を移動するため、場所ごとの暑さ差を受けやすい点にも注意が必要です。冷却ベスト、ネッククーラー、車両待機場所の暑さ確認、無線・インカムでの声かけ、定期的な降車休憩を検討しましょう。
トラックドライバー・待機者対応
倉庫側の従業員だけでなく、積み込み・荷降ろしに関わるドライバーも暑さの影響を受ける可能性があります。待機場所の案内、飲料・補給用品の設置、注意喚起掲示、荷待ち時間が長い場合の休憩導線、バース周辺の送風・日よけを確認しましょう。
短期スタッフ・派遣スタッフが多い現場
ルールを知らないまま作業に入ると、体調不良時の報告が遅れる可能性があります。初回入場時の説明、分かりやすい掲示、多言語・ピクトグラム対応、休憩所・補給ポイントの案内、報告先共有を検討しましょう。

倉庫・物流現場で準備したい熱中症対策カテゴリ
単品の商品を選ぶ前に、必要な対策をカテゴリごとに整理すると分かりやすくなります。作業場所や動線に合わせて、測定・補給・冷却・送風・休憩・掲示を組み合わせて考えましょう。

WBGT計・温湿度計・環境管理用品
トラックバース、ピッキングエリア、仕分け・梱包エリア、休憩所など、作業者が実際にいる場所で確認できる体制を整えることが重要です。
環境管理用品を確認する →
水分・塩分補給用品
倉庫内では作業者が広く移動するため、補給用品をどこに置くかが重要です。ピッキングルート、出荷場、荷捌き場、休憩所など、作業動線に合わせて配置を検討します。
水分・塩分補給用品を見る →
冷却ベスト・空調服・ネッククーラー
作業者の身体を冷やすための用品です。ピッキング、フォークリフト、荷役など作業内容や動き方に合わせて選定します。
冷却用品を確認する →
スポットクーラー・業務用扇風機・送風用品
仕分け・梱包エリア、トラックバース、荷捌き場など、作業位置がある程度決まっている場所では、局所的な送風・冷却対策が有効です。風向き、電源、通路、荷物への影響も確認しましょう。
送風・冷却用品を確認する →
休憩所・保冷庫・補給ステーション用品
休憩所が遠い場合、補給の機会が減ることがあります。保冷庫、保冷ボックス、ベンチ、冷却材、補給ステーション用品などを活用し、作業者が無理なく休める環境を整えます。
休憩所用品を確認する →
緊急対応・体調管理用品
冷却材、救急用品、体調確認シート、緊急連絡先掲示などを整備しておくと、初動対応を整理しやすくなります。
健康管理用品を確認する →
注意喚起表示・掲示用品
派遣スタッフ、短期スタッフ、ドライバー、協力会社など、さまざまな立場の方が出入りします。補給・休憩・報告先・補給ポイントの場所を分かりやすく掲示しましょう。
掲示・標識用品を確認する →
場所別・作業別の早見表
倉庫・物流の現場ごと、作業ごとに必要な対策をまとめました。
場所別 熱中症対策早見表
| 場所 | 主な暑さリスク | 優先したい対策 | 関連カテゴリ |
|---|---|---|---|
| 保管エリア | 空気の滞留、ラック間の暑さ | WBGT確認、風通し、補給導線 | 環境管理、補給用品 |
| ピッキングエリア | 移動量が多い、補給しづらい | 給水ポイント、冷却用品、巡視 | 水分補給、冷却用品 |
| 仕分け・梱包エリア | 作業位置が固定、熱気がこもる | スポット冷却、業務用扇風機 | 送風・冷却用品 |
| トラックバース | 外気流入、荷役負荷、待機熱 | WBGT確認、送風、補給、休憩 | 環境管理、補給用品 |
| フォークリフトエリア | 座位作業、移動中の暑さ | 首元冷却、冷却ベスト、声かけ | 冷却用品、体調管理 |
| 休憩所 | 遠い、混雑、冷却不足 | 保冷庫、飲料、冷房、冷却材 | 休憩所用品、健康管理 |
作業別に向いている対策用品
| 作業 | 向いている対策 | 注意点 |
|---|---|---|
| ピッキング | 空調服、冷却ベスト、補給ポイント | 動線上に補給場所を置く |
| 仕分け・検品 | スポットクーラー、業務用扇風機 | 風向きと作業品質に注意 |
| 梱包 | 送風機、冷却タオル、塩分補給 | 作業台周辺に熱がこもらないようにする |
| 荷役・積み込み | 飲料、塩分補給、保冷用品、送風 | 短時間でも身体負荷が高い |
| フォークリフト | ネッククーラー、冷却ベスト | 車両乗降時の体調確認も必要 |
| ドライバー待機 | 飲料、休憩場所、注意喚起掲示 | 倉庫側の案内が重要 |
倉庫・物流向け 熱中症対策チェックリスト
社内説明や現場確認に使いやすいよう、倉庫・物流向けのチェック項目を整理しました。

事前準備チェック
- □倉庫内の暑くなりやすい場所を洗い出している
- □WBGT計・温湿度計を準備している
- □測定する場所とタイミングを決めている
- □トラックバース付近の暑さを確認している
- □ピッキングルート上の補給ポイントを検討している
- □休憩所までの距離を確認している
- □飲料・塩分補給用品の在庫管理担当を決めている
- □派遣・短期スタッフへの説明方法を決めている
作業動線チェック
- □ピッキング作業者が補給しやすい場所に飲料がある
- □仕分け・梱包エリアに送風・冷却対策がある
- □トラックバース付近に補給用品や送風対策がある
- □フォークリフト作業者が定期的に休憩できる
- □休憩所が遠すぎない
- □作業者が広範囲に分散しても巡視できる
補給休憩チェック
- □水分補給のタイミングを決めている
- □塩分補給用品を用意している
- □保冷庫・保冷ボックスを用意している
- □休憩所が涼める環境になっている
- □小休止のタイミングを作業計画に入れている
- □班長やリーダーが声かけしている
緊急時チェック
- □体調不良者を作業から離脱させる手順がある
- □涼しい場所へ移動できる
- □身体を冷やす用品がある
- □連絡先・搬送先が共有されている
- □誰が判断し、誰が連絡するか決まっている
- □必要に応じて医療機関や救急へつなぐ判断ルートがある
倉庫の熱中症対策でよくある失敗
熱中症対策用品を用意していても、倉庫の作業動線や運用に合っていないと、十分に活用されないことがあります。
休憩所だけ涼しくして、動線上に補給ポイントがない
休憩所が涼しくても、作業場所から遠い場合、補給や休憩のタイミングを逃すことがあります。ピッキングルートや出荷場付近など、実際の動線上にも補給しやすい場所を作ることが大切です。
WBGT計を事務所付近だけに置いている
事務所や入口だけを測定しても、トラックバースやラック間、仕分け場の暑さを把握できない場合があります。作業者が実際にいる場所で確認しましょう。
ピッキングとフォークリフトを同じ対策で考えている
歩き回る作業と座位作業では、適した冷却用品や休憩の取り方が異なります。作業内容ごとに必要な対策を分けて考えることが重要です。
トラックバース・荷捌き場の暑さを見落としている
トラックバースは、外気流入、荷役負荷、ドライバー待機が重なる場所です。倉庫内の一部ではなく、重点対策エリアとして確認しましょう。
派遣・短期スタッフにルールが伝わっていない
短期スタッフや派遣スタッフは、休憩場所や報告先を把握していない場合があります。初回説明、掲示、朝礼で、誰にでも分かる形で共有することが大切です。
自社倉庫に必要な対策が分からない場合は、3ステップ診断へ
倉庫・物流現場の熱中症対策は、倉庫の広さ、トラックバースの有無、作業内容、人数、休憩所までの距離、フォークリフト作業の有無によって必要な用品が変わります。
3ステップ診断で、職場に必要な対策を確認
業種・作業環境・お困りごとを選ぶだけで、推奨レベルとおすすめ対策カテゴリが分かります。
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あなたの会社の主な業種は?
よくある質問
Q. 倉庫内でも熱中症対策は必要ですか?▼
はい。倉庫内は屋内であっても、大空間で空調が効きにくい、折板屋根や外壁から熱がこもる、シャッター開放で外気が入る、荷役作業で身体負荷が高いなどの理由から、熱中症リスクが高まる場合があります。
Q. 倉庫の熱中症対策は何から始めればよいですか?▼
まずは、倉庫内の暑くなりやすい場所を洗い出し、WBGT計や温湿度計で状況を確認することから始めると整理しやすいです。そのうえで、補給ポイント、休憩所、冷却用品、巡視、緊急時対応を組み合わせて検討します。
Q. WBGT計は倉庫のどこに置くべきですか?▼
事務所や入口だけでなく、作業者が実際にいる場所で確認することが重要です。ピッキングエリア、仕分け・梱包エリア、トラックバース、フォークリフト待機場所、休憩所など、暑くなりやすい場所ごとに確認すると実態を把握しやすくなります。
Q. ピッキング作業者にはどのような対策が必要ですか?▼
ピッキング作業者は倉庫内を広く移動するため、補給タイミングを逃しやすい場合があります。ピッキングルート上に給水ポイントを設ける、冷却ベストや空調服を活用する、班長やリーダーが声かけするなど、動線に合わせた対策が重要です。
Q. トラックバースの暑さ対策では何をすべきですか?▼
トラックバースは、外気流入、シャッター開放、荷役作業、待機時間が重なる場所です。WBGT確認、送風機・スポットクーラー、飲料・塩分補給、保冷ボックス、注意喚起掲示、ドライバー向けの休憩案内などを検討するとよいでしょう。
Q. 空調服や冷却ベストだけで十分ですか?▼
空調服や冷却ベストは有効な対策の一つですが、それだけで十分とは限りません。WBGT確認、水分・塩分補給、休憩、巡視、体調不良時の報告体制などを組み合わせて、現場全体で運用することが大切です。
Q. 倉庫向けの熱中症対策用品はどのように選べばよいですか?▼
作業場所、作業内容、人数、休憩所までの距離、トラックバースの有無、フォークリフト作業の有無を整理したうえで、WBGT計、補給用品、冷却用品、送風機器、休憩所用品、体調管理用品をカテゴリ別に確認すると選びやすくなります。
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